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2006 年09 月22 日

ライブドア刑事事件

 公判での証人尋問の報道によると、宮内被告は、会社の会議で堀江被告が「何でクロにできないの。他から売上つければ何とかなるでしょ」と発言して架空売上高計上による粉飾を指示したと証言したという。
 しかし、このような堀江被告の発言が事実だとしても、それが直ちに架空売上高計上による粉飾の指示に当たるのだろうか。経営者であれば、誰でも、これだけ儲かっている(売上が多いのか、資産が増えたのか、グループ会社の中のどの会社かもおいて、法律的会計的な話ではなく感覚的は話として、儲かっている)のに、それでも赤字だと言われたら、「何でクロにできないの」と問いかけるのは当然のことだろう。だからといって、それが架空売上高計上による粉飾の故意があるかどうかとはまた別問題だ。経営者たるものはそれが架空売上高計上による粉飾に当たることを知っておくべきだということは言えたとしても、実際にそのような会計上の知識がなければ、その知識がないことの過失を粉飾の故意と同視することはできない。赤信号を見落として交差点に進入した者に対して、見落としたことが悪いからそれは赤信号を無視して交差点に進入したのだということと同じだ。
 どうもこの事件は規範の問題(こうすべきだ)と事実の問題(こうだ)というのを混同しているような気がしてならない。それは今の刑事事件一般について言えることだが。

投稿者:ゆかわat 22 :52| ビジネス | コメント(0 )

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